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第十二章 地方自治

地方税は国税に一本化し、人口比例で配分する。これによって過疎地の財政は豊かになり、開発が進む。

全国スケールの所得再分配

小単位の自治組織は、民主政治の出発点である。しかしながら、狭い日本の、交通が発達した現在では、地方自治の意義は、薄れている。自治の基本は財政の独立であるが、過疎、過密の地域差が大きくなるにつれてそれは難しくなるばかりである。

税は所得の再分配を行う手段であるが、地方自治体は、所得の再分配の一部を独自に行う機関である。しかしたとえ一部でも、再分配を自治体単位で行うところに無理があり、地方交付税などで、矛盾を緩和している実状である。

所得の再分配は、すべて、全国スケールで行うべきである、と言っても、今では反対する人はいないであろう。そこで次の提案をする。国税と地方税を一本化し、税体系を簡素化する。国と自治体間の税収の配分は、今までより自治体に厚くし、自治体間の配分比は人口比例とする。これによって、今までの貧乏自治体は、金持ちになり、金持ち自治体は貧乏になる。

今までの金持ち自治体は、財政に余裕があるため、放漫経営で無駄が多くても、貧乏自治体よりも高度な行政サービスを行うことができた。そこへ突然、収入が平等化されると、財政は非常に苦しくなる。衝撃が強すぎるから、過度期には、一部を国が補助することが必要である。しかしながら、できるだけ早く、国の補助をなくし、各自治体の収入を人口当たりで平等にするべきである。

地方行政の効率化

現金による分配金は各自治体で同額とするが、その現物給付であるところの行政サービスには、大きな差がつくようになる。収入を効率よく住民のために使う自治体では、行政サービスが高度となる。行政効率が悪く、しかも、職員へのサービスを過剰に行っている自治体では、行政サービスは劣悪となる。

各自治体の収入に大きな差があったときは、ぼやけていた自治体の業績評価が明瞭になり、選挙の時に、住民の投票行動に合理的に反映される。全国の自治体の行政サービスコンクールが行われるだろう。自治体は極限にまで、合理化され効率化する。優勝者は、今まで苦しんできた過疎地帯から出るだろう。優勝した自治体の首長は、国民の圧倒的支持を得て、総理大臣に選ばれる。こうして国の行政の効率化も進むことになる。

過疎地の発展

この税制の最大の利点は、過密、過疎を解消し、国土を有効に利用することに役立つことである。わかり易いように例をあげて説明する。ある過疎地域に、所得も資産も少ない老齢者が、千人集まって村をつくったとする。そこは、静かで、水と、空気がきれいで、地価も安い。勤めに出る必要がない老齢者が、余生を楽しむには絶好の環境である。

しかし、今の税制では、村の財政が成り立たない。財政が苦しいから、人頭税的な税制をとらざるを得ず、行政サービスも劣悪となる。たとえば東京都内に住む老人は、行政サービスの充実している東京都から、この村に移住するのに、二の足を踏むだろう。

新税制では、次のようになる。村の財政は、極めて豊かである。医療費、介護費は国が負担するし、元気な老人は、介護者として収入が得られる。自治体にとって、大きな負担である義務教育費がいらない。その代わりに老人学級を開設する。老人にとっては、学習も趣味であり、趣味も学習である。こうして老人のパラダイスが出現する。全国から、老人が集まってくるだろう。同じ町内の仲間を誘い合ったりして商売になるから、商店もできる。病院も続々建てられる。

スープのさめない距離とまで言わなくても、朝飯前に行ってこられる距離、車なら、三十分、二十キロメートル以内に住みたいと思う孝行息子は多くいる。こうして、老人村に近接する町の人口がふえる。そこから、更に三十分の距離に勤めを持つことは、それ程困難ではない。

過疎地域からでも、四十キロメートル行けば、工業地帯としての適地はあるから、人手を求めて、どんどん企業が進出してくる。これに平行して、東京からの分散が進む。即ち大地震対策としても、極めて有効である。

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