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第八章財産税

すべての資産に平等に、年率二パーセント以下の財産税を課す。

財産税と相続税

財産税は、なしくずしの所得税と言える。捕捉が困難な所得について低率で長年かかって確実に徴収する所得税である。財産税の税率は高くはできない。税率が高いと、節税が行われ易い。例えば名目金利よりも高いと、タンス預金等、資産の陰とくが行われる。

年二パーセントの課税では、一世代三十年間の合計は約四十五パーセントの税率になる。(指数計算)相続税は廃止すべきであることは前述したが、相続税は高税率であるため、節税を誘う。又、査定が過大になったときの問題が大きいから、どうしても査定は過小になる。この点で財産税の税率年二パーセントなら、どんぶり勘定で査定しても、大きな問題は起こらない。

相続税は評価額を実勢よりも低く抑えているため、又、多くの節税手段によって実質的には、極めて不十分にしか、所得再分配の役割を果たしていない。相続税は廃止し、財産税で代替えするのが良い。土地、株式、預金等の各種の資産に関して中立性を保つため、すべて時価評価で課税する。こうしないと資産の移動を誘発し混乱を招く。

財産税には、基礎控除をはじめ、控除はいっさい設けないから、資産の分散による節税はできない。財産税は、個人からだけでなく法人からも徴収する。例えば株式の時価総額がその会社の総資産(含み資産はすべて時価で再評価する)より少ないときは、その差額をその会社の資産と見なす。こうしないと莫大な資産が所有者不明で課税できない。

又、財産税逃れのため、個人の財産がどんどん会社名義に移される。預金、有価証券等はすべて、所有者の本名を明らかにさせる。一定割合で無作為に抽出し、叉は、時には狙い打ちで資産の所有者の実在を確認し、もし、所有者が実在しないときは、その資産を没収する。

このように課税逃れ封じの工夫をする。しかし、実際の課税は、本人からのどんぶり勘定での申告による。これでも、プロの目が見れば、ひどい過小申告は、容易にチェックできる筈である。

財産税の税率調整

財産税は、金持ちにとっては、打撃が大きい。じっとして居れば、財産はどんどん目減りする。努力しなくても、危険を冒さなくても、永久に金持ちでいられる、そういう制度が欲しい、その気持ちはよくわかる。しかし、それはできない。そういう制度は、必然的結果として、貧乏人はどんなに努力しても、金持ちにはなれない制度であり、そんなことが長続きできる筈がない。

財産税の税率二パーセントは、努力しなくても、じっとしていても、財産の半分以上は、次の世代に渡せる制度である。その程度は我慢してほしい。実際の税率は二パーセントより低くする。国民総資産が時価評価にすれば一万兆円にもなろうとしている現在、まともに二パーセントとれば、税金が余ってしまう。国債残高をふやせば、国民総資産はもっと多くなる。財産税の税率は、国債を減らしたいときは高くするなど、経済状勢に応じて調整する。

土地に対する財産税

財産税は、各種の資産に中立的であるから、地価に対して影響しない。但し、土地については、財産税支払のために切り売りせざるを得なくなっては困るから次のようにする。土地関係の財産税は、物納を認める。例えば、年二パーセントづつ、政府に所有権を移す。政府に借地料を支払はない代わりに、保有税は政府所有分も負担する。

政府と共有することになった土地でも他人に貸すことができる。自由に売却することもできる。但し、売却代金の政府所有分は、政府に納める。財産税は、時価の二パーセントがまともにかかるから、特に高地価の近郊農家は、農業では財産税は払えない。所有権は、どんどん政府に移って行くだろう。しかし、これは、我慢してもらう外はない。

もともと土地は、国民みんなのものだし、あなたは、運が良かっただけで大金持ちになったのだから。そして、次の世代に資産の半分以上は、残せるのだから。しかし農業は続けられる。新税制では、地主の特権はなく、地主が自分の所有地を耕す場合でも、借地料に相当する保有税を払う。だから、所有権が政府に移っても、土地の利用については、自分の土地と同じである。

そして、後述するように、高地価の呪縛がとけて農地の貸借が自由になれば、好きな土地で好きな作物がつくれ、生産性が高い農業を営むことができるようになる。

中産階級と財産税

財産税は原理的には、中産階級にとって、損得がない。納税額は国民の平均値であり、これとほぼ同額が政府サービスの形で、還元されるからである。しかしながら、目先は重くのしかかって来る。例えば、東京都区内の百uの土地つき住宅に住んでいて、土地資産額が三億円の人は典型的な中産階級と言えるが、年一パーセントとしても、年三百万円の財産税を、労働所得から支出するのは苦しい。

物納制を利用すれば生活には影響がなく、相続税の分割前払いをしていると考えれば何でもない筈であるが、それでも強い不満の声があがるだろう。中産階級は、知的水準が高く、数も多いから政治的発言力は非常に大きい。財産税にも線引きをし、個人住宅の土地には課税を免除せよと要求する。

しかしながら、三億円の資産を持つ人が三百万円の財産税を受け入れずして、三百億円の大金持ちに、三億円を納税させることができる筈がない。中産階級の課税を免除する制度は、必然的に大金持ちにも、逃げ道を用意することになる。

そして不公平税制はますます酷くなる。経済は行き詰まり、再び戦争への道を歩むことになる。国の運命は中産階級の自覚にかかっているのである。

土地の強制収用と財産税

土地は、本来公共のものであり、ゴネ得を許してはならない。財産税申告のときの自己評価額の二倍の対価を払えば、強制収用ができることにする。これによって、現在横行している、土地の売買価格のインチキ申告に歯止めをかけることもできる。

地価も需要と供給の関係で定まるから、国有地の売却は地価を下げる効果があることは、まちがいないのにもかかわらず、地価上昇を誘発するなどとバカげたことを言うのは、このインチキ申告で隠されている実勢価格が、競争入札によって表面に出るからである。

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